ヨガでテスト不安を乗り越える

 
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テストの前になると緊張したり、頭が真っ白になったりという経験をされたことはありますか?このような精神的な状況を「テスト不安」と言います。テスト不安とは言葉の通り、テストを受ける前に感じる不安感を指します。少しの緊張は力を発揮させますが、過度な不安やストレスはパフォーマンスの低下にもなり得るのです。

受験 x ストレス

日本では、受験シーズンに入りました。毎年1月にセンター試験があり、大学受験が始まります。2月には中学受験や高校受験もあります。受験は、子どもにとって乗り越えなければならない、そして大きなストレスのかかるひとつのライフイベントです。
 
ある保護者から相談を受けました。「うちの子は、高校へ行く気がないように思われます。」どうやらこの相談者のお子さんは、生活リズムが乱れ、夜中まで起きては、お菓子を食べながらゲームに没頭し、学校に出さなければならない受験校の希望先の書類も記入していないのだそうです。また別の保護者から相談を受けました。「志望校の推薦をもらえたのですが、緊張するためか、食欲が落ちて、顔色が悪いのです。」こちらのお子さんは、成績が良いものの、腹痛を訴えて、早退することが増えていました。

この受験というストレス状態において、脳ではどんなことが起きているのでしょうか?ストレスは、感情や衝動を抑制している前頭前野の支配力を弱めるため、視床下部などの進化的に古い脳領域の支配が強まった状態になり、不安を感じたり、普段は抑え込んでいる衝動(欲望にまかせた暴飲暴食や薬お金の浪費など)に負けたりするというのです。

また、大学受験期を前に、頭痛や不眠を主訴として、心療内科に通院する子どもたちもいます。受験期は、一時的なものとはいえ、人生に大きく影響を及ぼします。だからこそ、真剣に悩み心も体の調子も崩し、治療が必要になってしまいます。

ここで大切なのは、テスト前と後ではストレスや不安の大きさや種類が異なることが知られています。不安は、元々の性格や不安になりやすい性質である特性不安と、ストレス場面やその時点で感じている状態不安、という捉え方があり、テスト・受験期はこのライフイベントの折に強く不安になる状態不安の影響であると示唆されています。(三浦ら,1997)

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子どもへのサポート

こういったストレス状態の子どもたちに対して、親や教師はどのように支援しているのでしょうか?

高校生の受験における母親からのサポートの研究(外山ら、2014)では、サポートが供給されても、母の過度な期待や過干渉になり得た場合に、サポートの受け手である子どもたちへネガティブな影響があると示されました。この研究では、進学率が100%に近い学校のせいと出会っても、受験ストレスが高いことが示され、サポートすることの大切さの表れであると思われます。しかし、親だけのサポートだけでは、乗り切ることに限界があるのではないでしょうか?

さて、それでは教師のサポートはどうでしょうか?どうしても、模試の結果や希望校の偏差値といった学校選択となりがちで、将来のやりたいことへつなげていくことの難しさや、進路指導の難しさ、面接や試験方法など、入試の方法の多様さは、ここ最近大きなトピックです。また、どうしてもいわゆる難関校に何名の子どもが合格したのか、という点が、学校評価につながり、教師のモチベーションにつながるとも言えます。よって、「いいところ」へ入学することが暗黙のうちに大きなプレッシャーとなって、子どもたちを取り巻くのです。

この本来であれば、楽しい気分で未来について語る場面で、どうしても親も教師もより子どものために思えば思うほど、プレッシャーを与えてしまうのかもしれません。

ツールとしてのヨガ

テストへの不安や緊張を和らげる方法はたくさんあります。ヨガツールもそのひとつです。Yoga Ed.のプログラムではヨガツールを使って次のことを助けます。

  • 呼吸法: ヨガの呼吸は、生徒たちが内面の状態を調整する力をつけてくれます。呼吸の仕方は私たちの感じ方に作用するので、ヨガの呼吸法はストレスを軽減し、リラックス状態を強めることに役立ちます。この穏やかになった状態はより学習に適しています。

  • ヨガポーズ: ヨガポーズは、知覚ストレスを軽減し、自己をいたわる心を育みます。これによってストレスに対して精神的にうまく対処することや、身体に強いる負担を少なくすることが期待できます(Gard et al., 2012)。これもまた学習レディネスの状態を生み出します。

  • ヨガゲーム: ヨガゲームで、問題解決力、協調性、想像力や社会性と感情のスキルを築いていくことによって脳の柔軟性と潜在的な学習能力を高めます。
    リラクゼーション法: ヨガのリラクゼーション法は、積極的にリラクゼーション反応を誘発し、ストレスのフィードバック・ループをを遮りま す。最近の研究では、ストレスに対する感情の統制(自己調整)を自発的に行う生徒たちは、前頭前皮質に大きな活動が見られ、扁桃体の活動調節が優れ、体内のコルチゾール値が低いことがわかっています(Davidson, 2008)。

勉強時間や睡眠時間を大きく削ることなく、思い立ったらすぐにできるブレインブレイクとして、チェアヨガの呼吸法やポーズ、リラクゼーションはとても役に立ちます。特に集中して勉強をする場合や大切な模試の前の日にオススメです。子どもが不安を感じていたり、過度なストレスを抱えていたらその兆候を見逃さずに優しくサポートしてあげましょう。もし(サポート側の)あなた自身が不安やストレスを感じていたら、一緒に行ってみるのも良いでしょう。

興味が湧きましたか?簡単なヨガツールを学んで、子どもたちをサポートしてあげましょう。

参考文献

外山美樹・樋口健・宮本幸子 (2014)「高校受験期における母親からのソーシャル・サポートが子どもに与える影響」, 発達心理学研究, 第25巻, 第1号, 1 −11, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjdp/25/1/25_1/_article/-char/ja/ (参照2019-1-9)

富田吉敏・菊地裕絵・安藤哲也 (2017)「受験生と心療内科 —ストレスを抱える受験生への心療内科的対応—」, 心身医学57(8), 849−855, https://doi.org/10.15064/jjpm.57.8_849(参照2019-1-9)

三浦正江・嶋田洋徳・坂野雄二 (1997)「中学生におけるテスト不安の継時的変化 心理的ストレスの観点から」, 45巻1号, 31−40