ヨガでいじめを防ぐ

 
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いじめの定義

日本では、いじめはどのように捉えられているのでしょう。文部科学省のホームページでは、次の通りに説明がなされています。いじめ防止対策推進法の施行に伴い、平成25年度から以下のとおり定義されています。

「いじめ」とは、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。 <文部科学省ホームページより> 

今、子どもたちの多くはインターネットやSNSを利用しています。週末、SNSの投稿を見て、友だちからのけ者にされた、恥ずかしい写真を勝手に周囲にばらまかれた、傷つくことを言われ、そのメッセージが残っているから、気持ちの切り替えがなかなかできない…。そのような悩みも多く寄せられます。学校以外でも、いじめの状況は続いているばかりでなく、深まっていくのです。

日本でのいじめに関する研究

日本の研究を少し紹介します。

いじめる理由として,久保田(2003a) の調査での最多の理由(複数回答)は“相手に悪いところかがあるから”の62%で特に女子に多かったそうです。次に“遊びやふざけ“だと思っていたから”の40.9%で,このような明確ないじめの意図を否定するのは男子に多かったそうです。子どもたちと話していても、女子は相手によくなって欲しいから、といった思いやりの延長にきつい言葉やトラブルにつながる傾向にあると思われます。

酒井(2009a)によると,以前いじめられた仕返しという回答が最多で3 割を超えており,次いで“相手がいばっているから”が約3 割,“なんとなく”が約25%でいじめに至ると言うことが多いようです。9 割を超す生徒がいじめはいけないと認識しつつも,6 割強がいじめられる人にも悪いところがあるから仕方ない,と回答した調査もあり(酒井,2010),これらのことからいじめる側の理由として,いじめがよくないことは認識している一方で,報復をはじめとして相手に理由を帰結させるもやり返したいと言う気持ちと相手が悪いと言う人のせいにしてしまう心の傾向があること,遊びやふざけの延長線上に位置したり,なんとなくといった程度でいじめるケースが多いと推測されます。

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ヨガでいじめ防止

このなんとなく、と言うのは、相手の立場になって気持ちを考えると言うソーシャルスキルや自分の感情をうまくコントロールできないことが原因だと思われます。そのため、ヨガを用いて、自分の感情をコントロールすることや相手の気持ちを知っていく方法を学んでいくことはとても大切だと思います。特に“なんとなく”と言うように原因がはっきりしないことが多いのは、自分の心や体がどんな状態になっているか、客観視できていないことが理由でしょう。ヨガは心と体を客観視することを助けます。

Yoga Ed.プログラムで下記のライフスキルを育みましょう。

1. 自己への気づき

ヨガは、気持ちや感情、意見を観察し認知することをサポートし、敬意を持ってコミュニケーションできるように促します。自己への気づきを促すツールを提供することで、自分の内面で起きていることを理解できる力を高めます。クラスで積極的に自己への気づきを実践できる機会を提供していきます。

2. 自己統制

生徒たちは、ヨガポーズで身体を動かし、仲間と互いに影響し合うことで、感情や身体感覚を探求し、思考や気持ちを健康的に管理する方法として、呼吸や動きを学びます。

3. 共感

共感とは他者の気持ちに理解を示し、分かち合うこと、つまり誰かの身になって感じることができる能力のことです。自己の内面で起きていることを理解することで他者の身に起きていることにもより良い理解を示すことができます。この能力によっていじめを防ぐことも可能です。

4. 仲間との人間関係

ヨガは、クラスの中で仲間との前向きな関係を築き上げる機会を与え、いじめにつながる行動を減少させます。また、結果よりも過程を大切にし、多様な視点を持つことを伝えています。仲間との関係性も多角的な視点で見れることを促し、より良い人間関係を築いていくことを助けます。

最新の調査によると、いじめの認知件数は41万強で過去最高。いじめを早期解決し予防することはもちろん、できることからすぐに始めることが必要です。

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参考文献

日本の小中学生を対象としたいじめに関する心理学的研究の動向
下田 芳幸 (富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 教育実践研究 第8号 通巻30号 抜刷 平成26年1月)