スクールカウンセラー / 太田千瑞さん

 

Yoga Ed. トレーナー・臨床心理士・スクールカウンセラー

スクールカウンセラーへ相談を寄せるのは生徒や保護者だけとは限りません。特に関東や首都圏では2月に受験が行われることが大変多く、この時期になるとクラスを受け持つ教員からも相談を受けます。


教員から寄せられた相談内容

クラス全体が落ちつかない

中学3年生の担任の先生方から私は相談を受けました。「受験生なのに、クラス全体が落ち着かない。授業中、とくに男子の私語が多く、困っている。」そこで、クラスごとに、スクールカウンセラーより、“受験の前にリラックスを教えてもらう”ということをテーマに授業をすることになりました。

生徒への授業内容

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 まずは、ストレスって何だろう?ということについて、説明をしました。受験は誰でもストレスになること、ストレスだと思っていなくても、頭痛がする、お腹を壊しやすい、学校に見学に行くと体調を崩す、など、体の変化はないか、聞いてみました。すると、「お腹がキューとなる」という子が数名いました。そのため、簡単に取り組め、お腹に手を当てて、まるで自分で自分のお腹を治すような雰囲気が作れる風船の呼吸を行いました。行った後、「うわあ、何だか気持ちがいい」と言ってくれる生徒が数名いました。しかし、呼吸法に取り組んでいる間、10名くらいの男子がふざけあって笑ったり、友だちに抱きついたりとこちらのいうことを聞いてくれません。そこで、しっかりマットヨガのポーズをいくつか取り組むことで、エネルギーを正しい方向へ向けていこうと考えました。

 取り組んだのは、ネコとウシのポーズ、コブラのポーズ、下向きの犬のポーズ、プレッツレル、板のポーズを行いました。板のポーズはとくにそのうるさくしていた10名の子のうち3名が、「俺、できるし!」と片手でバランスを取ろうとしたため、「それじゃあ他の人もやってみようか?!」と励まし、全員で帆つき船に取り組みました。すると、「うわ〜できない!」と言って崩れる生徒が大半。大笑いしながら取り組んでいきます。あれほど説明を聞かなかった生徒が、「こうすればバランスが取れるよ!」という、私の説明に耳を傾けて行くのでした。

 その後、あぐらとなり、もう一度風船の呼吸をすると、自然と目を瞑る子が多くいました。そのまま仰向けにはせず、じっくりと呼吸の音を聞いてみようと伝えました。難しいポーズにチャレンジしたことでフッと力が抜けたのかもしれません。2分ほど沈黙が流れます。

 その後、誰ともなく、再び話し始めたり隣の生徒を触り始めたりするため、「みなさん聞いてください。これから受験に受かるために3つの深呼吸をしたいと思います。」と言って、注目を引きました。そして、「1つ目はクラスメイトに向けて呼吸をしてみよう。2つ目は家族や先生へ。3つ目は自分に向けて呼吸をしてみよう。」と語り、取り組ませました。誰にしよう、と口々に言葉にしていましたが、それでも背筋が伸び、呼吸をしっかりと行なっていました。

生徒と教員の反応

 ヨガの授業が終わった後、クラスの中で落ち着かない10名の男子グループのうち数名が、「先生、次いつ来んの?」と笑顔で言います。女子も「お腹があったかくなりました。」とお礼を言ってくれました。担任も「あんなにうるさかったのに、静かになりましたね。ありがとうございます。」とおっしゃっていました。どうやら子どもたちも担任の先生もヨガを気に入ったようです。

経験から学んだこと

 「クラス全体が落ち着かない」という相談を受けたことで担当したこのヨガ授業を通して感じたことは、本当は不安で受験のストレスを持っていた子どもたちが、どのようにその気持ち、エネルギーを発散したり向き合ったりする方法を知らなかった。また、内側の気持ちをみる(自己への気づき・内省)ことにに風船の呼吸やヨガのポーズがとても有効であることが考えられました。

 ヨガツールは、ストレスの軽減や感情を観察しシフトさせることにとても効果的ですが、クラスルームマネジメントにもとても役に立つのです。進路選択という誰もが通る道は、通り過ぎた大人と子どもの捉え方のギャップが生まれやすいことが多いのです。受験というプレッシャーから生れるストレスに対して、どのように対応して対処するのか、受験生だけではなく、受験生を取り巻く大人も知っておきたいツールです。

 受験という大きなライフイベント。この時期のストレスをヨガの呼吸とポーズは大きな助けとなります。


ヨガツールにはマットヨガとチェアヨガがあります。あなたの身近にいる子どもにヨガツールを提供してあげませんか?

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